眼鏡越しの風景EP81-秋晴-
- 2022/11/5
- yukkoのお眼鏡
通常の本業の合間に、2年間の任期で、関連業種の外部広報業務をしている。
任期中はコロナ禍で、思うようにイベントを開催したり、メンバーと顔を合わせて集まることも出来ず、リモート会議やメールでのやり取りばかり。数回開催された少人数のミーティングでは、いつもマスクをしているので、15人ほどいるメンバーの鼻から下の顔がいまだによくわからない。背格好やだいたいの雰囲気、髪型や眼鏡の有り無しくらいでなんとなく相手を認識している。
それぞれ本業の合間での活動となっていて、さらに会えないことで意思疎通がうまく図れず、企画の締め切りが近づくとメールも頻回となり、やり取りがスムーズにいかず、少しもどかしい。
初年度は企画自体も写真コンテストやクイズ、インスタグラムなどの発信やSNSを通じ、非接触で出来る企画ばかりになってしまった。
そして2年目の今年。本格的な活動開始第一弾として、みんなの意見を元に、サブカル系のコアなファンを持つイラストレーターさんに、このプロジェクトのオリジナルイラストを依頼することとなった。それぞれ、イラスト依頼担当、イベントのノベルティグッズ製作担当(グッズはそれぞれ6種類)、SNSで発信する担当と分業制。
2ヶ月ほどすると、サイケデリックなカラフルなイラストと、今年のオリジナルロゴが上がってきた。それを受け、いよいよ私が所属するグッツ製作チームの作業がスタートした。私はデザイン違いのジュートバック大小と、モバイルバッテリーの3種類の担当を引き受けることに。他にはロゴのピンバッチ2色、ミニボトルとハワイアンボトルの製作物があり、それらは別の人が担当していた。
元々、こういう作業が好きな私は、出来上がるまでの工程さえも楽しく、担当になったからには、『わざわざ買わないけれど、貰うとうれしい物』をコンセプトにグッツを選び、『イイトコ突くじゃん!』という物にしたかった。さっそく私のこだわり魂がムクムク湧き上がってくる。
上がってきた基本のイラストやロゴは決まっていたが、カラー変更はOKという許可を取付け、それぞれのグッツに合う配色を考えることにした。
まずは大きなバックにはオレンジと深い青緑の配色を、小さいバックは白とティファニーブルーで爽やかに、そこは自分の好みを優先させ決定した。
色見本は微妙な濃淡を含め果てしなく存在し、その中から、イメージに合う色を探す作業は素人にはなかなか難しかった。自分が思い描く色味をどう印刷屋さんに伝えればいいのだろう。私は自分が思うイメージの色のポスターや看板、雑誌など参考になるものをパチパチとたくさん撮影し、その中から近い色味の色番号を印刷屋さんに出してもらうことにした。
色の選定を待っている間に、今度は実物のバックのサイズ感を掴むため、手持ちの無地のトートバックを実物のサイズに折りクリップ留めし、平面の実物見本を作ってから、そこにイラストをサイズに合わせカラーコピーし、ハサミで切り、両面テープで貼って、試作品を身の回りのもので自作した。
デスクの横を通り過ぎる先輩に「工作教室?」と笑われたりしていた。
試作品を壁にマグネットで貼り付け、近づいたり、離れたり、周りをウロウロと角度を変えながら眺め、手に下げたり、肩に掛けたりもしてみた。
イラストの大きさ、印刷位置と余白のバランスを、細かく何cmと指定して、製作をお願いした。
そこまでこだわるのには、貰ったけど使われない物になりたくなかったからだ。
印刷屋さんは時々アドバイスをくれながら、あれやこれやと私のこだわりに付き合ってくれた。
もう一つお任せされたグッズのモバイルバッテリーは白や黒が多い市販品との差別化ができるよう、あえてイラストの原画、カラフルな配色をそのまま使用することにした。持っていると「なにそれー!?」とお友達が聞きたくなるようなデザイン、鞄の中でもすぐに見つけられる派手でカッコいいモバイルバッテリーを目指した。完成すると鮮やかな色合いも見事に再現され、本体色の白の中にパッと目を引くイラスト、オリジナリティ溢れるグッズになったと、少しだけ自画自賛。
つい先日、完成したグッズの在庫確認のため、事務局を訪れると、駐在事務の女性がこんな話をしてくれた。私たちが製作したグッズを目にした別のプロジェクトの女性が、「可愛い、ほし~ぃ!」と絶賛し、「こういうノベルティグッズ作りたいんですよね…」と、お話されていたとのこと。
それを聞いた私は、「それ!それ!」
その声が聞きたくて3ヶ月がんばってきたんだと、心の中でガッツポーズ。
2022年11月末、2年ぶりに行われる対面での秋イベントで、一般のお客さまに製作したノベルティグッズがお目見えする。その反応が今から楽しみだ。
♪My Favorite Song
楓 スピッツ