眼鏡越しの風景EP77-進化-
- 2022/8/27
- yukkoのお眼鏡
携帯電話を持ち始め数十年。初めて携帯の通信キャリアを変更した。今までこだわりが有るような、無いような状態で、いつの間にか替えそびれて今に至っていた。
いつもは下調べ万端で慎重に行動する私が、その日に限って、ショッピングモールで不意に呼び止められ、言われるがままに乗り変えてしまった。お兄さんの営業トークの勝利か。そのまま流れに乗ってしまった自分に、とても驚いていた。
後付けでいろいろ調べてみた結果、なかなかいい選択だったよう。それもあり、以前から家族割引となっていた、両親の通信キャリアも変更することにした。
後日、両親と一緒に携帯会社へ行き変更の手続きを行ったが、父と母二人分を変更するのに、あれこれと3時間近くかかってしまった。心配で私がついて行ったものの、両親だけで訪れていたら、一体どれほど時間を要していたのだろう。
両親も高齢となってはいるものの、世の中のデジタル化の波には逆らえず、数年前にスマートフォンに変更してからは、携帯会社に電話をしたり、近くのお店に聞きに行ったりしながら使っているようだが、なかなか苦戦している。
私たちの世代なら、容易に想像がつくような基礎的な操作にも迷うことがあるようで、両親からのお助けコールがあると「今度はそう来たかー!」と、二人のわからないことが、私の想像の上をいくようなことだったりする。
前夜に、間違ってかかってきたグループ電話の切り方がわからず…というより、切れていると思い込んでいて、一晩中コールし続けたまま、次の日の朝まで12時間もそのままだったということもあった。
電話と思って使うか、パソコン機能を備えた電話と思い使うのか、かなり頭を柔軟にしなければ、今まで生きてきた知識を総動員しても、確かに予測できないのかもしれない。
そんな日常に起こる些細な操作の勘違いを隣にいてすぐに教えてあげることができれば、理解できることも、離れて暮らしているとそうもいかず。ふと、若者世代と接点のない高齢者家庭は、一体どうしているのだろう?今の文明進化はかなり堪えているのでは、と憂いてしまう。実際、私も実家から離れて暮らしているので、その場ですぐ対応してあげられず、もどかしい思いをしている。
今年の春、父は思い立って高校野球を観戦しに行くことにした。昔の流れで当日、現地でチケットを買おうと窓口の列に並んでいたらしい。いよいよ自分の番になったところで、チケットはここでは販売されていませんと言われしまい、窓口の方に、コンビニで買えることを教えて頂いた。また、そこでも他の人が並んでいる発券機の列に並んだものの、機械を操作すると予約番号の入力が必要との表示、事前にネット予約はしておらず、チケットを買えるわけもなかった。もしかすると、発券機で直に購入することもできたのかもしれないが、コンビニの機械もうまく使えないので、はるばる甲子園まで行ったにも関わらず、中の歓声を背に結局入場出来ずに、ガッカリしながら帰ってきたらしい。
コロナ禍で非接触が推奨され、ますますチケットレスや、混雑緩和の事前予約が導入されるようになった今。スマートフォンやパソコンを使いこなせなければ、無駄に長い列に並ぶことになったり、チケットが入手出来ず、楽しみを諦めることになったり、そんな話しを聞くと、切ない気持ちになってしまう。
今年の夏の甲子園は、前回のことがあり、父は最初から行くのを諦めていたようだったが、「観に行きたかったな」と独り言のように言っていた。
このご時世でなかなか実家にも帰れず、通信キャリアを変更した日、それが3年ぶりに父と会う日となった。その時にチケットを自分で取れるようになりたいと意欲を見せ、父なりにスマートフォンでしてみたいことが色々あるようだ。他の人がお店でスマホかざし、買い物をしているのに、密かに憧れているらしく、いつかやってみたいと言っていたのには、可愛らしくて笑ってしまいました。そんな父の細やかな願いを叶えるべく『yukkoのスマホ教室』を近々開催することにしている。
来年の春には、晴れて高校球児の勇姿を、スマホをピッ!として、観に行けるように。
♪My Favorite Song
電話 レミオロメン