眼鏡越しの風景EP36-名前-
- 2021/1/30
- yukkoのお眼鏡
『ゆっこちゃん』『ユッコちゃん』小さい頃からずっとこう呼ばれている。
音楽活動をしている今は『yukko』と呼ばれることが多くなった。
本名は『由紀子』
この人生において私を『由紀子』と呼ぶ人はいなかった。役所や銀行、知らない人たちだけが、公的な名前として『由紀子』と呼んだ。一時、苗字まで変わっていた頃は、病院の待合室で呼ばれていたにもかかわらず、自分の名前という認識が薄く、何十分もぼんやりし、看護師さんに声を掛けられたほどだった。両親や祖父母、親戚一同、友達、誰に会ってもどこに行っても、みんな私を『ユッコ』と呼び。幼い頃は、自分で自分のことまで『ユッコねぇ~』と言っていた。内からも、外からも愛称で呼ばれ続け、自分でも『私は由紀子なんだ!』という自覚がない。私のイメージでは『由紀子さん』というと、色白で細く、少し病弱ではかな気『ユッコちゃん』だと、パタパタお転婆、おっちょこちょいな中身になってしまい、長年の呼び名が私の人格形成にも影響していると思う。
当時、音楽を始めるキッカケが一夜限りの予定だった為に、アーテスト名を付ける発想も時間もなく、気がつくとあれから5年、今日まで来てしまった。その当時も全く知らない誰かさんになる勇気はなかったが、なっていたとしても、昔から私をよく知る人が『本名由紀子でしょ?誰?』『本当はユッコじゃん!』と笑われそうで、大きくかけ離れたアーティスト名を名乗るのに躊躇してしまった。今なら、憧れの『子』の付かない名前や、お気に入りの名前にすればよかったとも思うが、今はローマ字、小文字の『yukko』が気に入っている。
アーティスト名、バンド名、名づけをする機会はその後も訪れたが、このエッセイを連載するにも、タイトルを付けなければならなかった。
“私とはなんぞや?”
眼鏡・帽子・旅好き・・・と、思い浮かぶ単語をノートに書き出した。
それと平行し、たまに「おぉぉー!」というような、突拍子もない変化球をくれるお友達にもタイトル候補をいくつか挙げてもらった『天ぷら揚げてフライデー』
エッセイになぜ故それ?というような、油もの、金曜色強めのタイトルだったが、連載土曜日なんですけど・・・。
『シカちゃんのカクカクシカジカ』という苗字をもじったものもあったが、yukkoはいったいどこに?もはやダジャレ!?だったが、友達の間では大ウケであった。
次に出てきた『コラむすめ』は、ゴロもよく、けっこう気に入っていたけれど、徒然なるままに・・・エッセイを書きたかったので、評論のコラムをもじったものは付けにくいとそのタイトルはお流れに。
結果、自分で付けた『yukkoのお眼鏡』に落ち着く。他に似たようなタイトルのものがないか、お眼鏡ってちょっと上から目線?と気になったりもした。では、字面をどうするか?で、また悩んだ。
『yukkono no omegane』
『ユッコノオメガネ』
『yukkoのおめがね』
『ゆっこのお眼鏡』
文字をローマ字にするか、ひらがなにするか、はたまた漢字を入れるか、たかがなのだが、されどでもあり、字面でだいぶ印象は違ってくる。そんな小さなことは誰も気にしていないかもしれないが、やっぱり私はそこに拘りたい。
レンズ越しに起こる日常の風景、私を通して感じたことをこのエッセイにして届けたい。そんな思いを込め『眼鏡越しの風景』と、サブタイトルも付けた。
これからも『yukko』と呼ばれる、おっちょこちょいな人生を、私は歩んでゆこうと思う。
♪My Favorite Song
ビューティフル・ネーム ゴダイゴ