眼鏡越しの風景 EP1‐秋隣‐
- 2019/9/28
- yukkoのお眼鏡
夏休みも終わり、通学路に子どもたちの笑い声が戻る。
今年の夏も暑かったなぁと、毎年そんなことを言っている。
私は自転車を急がせ、駅へ向かっていた。
小さな体にランドセル、大きな水筒とお道具箱、右肩から今にもずり落ちそうな大きな巾着袋は体操着なのか…長い紐をズルズル引きずっている。
だいぶ通りすぎた後、やっぱり気になり、自転車をクルっと回転させ引き返した。
このご時世、誘拐に間違われてもなぁと、周囲に聞こえる大きな声で『荷物、カゴに積んで送っていこっか?』と.
小さな僕はコクンと頷き、暑さで顔を真っ赤にしながら、汗を腕で拭う。
『暑いから水筒のお茶飲んでね』と言うと、小さな僕は立ち止まり、大きな蓋を小さな手で開け、ゴクンゴクンと二口で飲み干す。
小さな歩幅に合わせ、ゆっくり歩く。
無口で小さな僕は、最近 妹が生まれたこと
お母さんは妹のお世話で大変なことを話してくれた。
あれから、2度目の夏が過ぎ…
『おはよう!』『おはよ~う!』と、日焼けした顔が溢れる賑やかな通学路。
たくさんの小学生の中に、友だちと楽しそうに駆けている僕を見つける。
ランドセルも、水筒も、もうそんなに大きくなくて、きっと、あの日のことは覚えていないなくて…
それでもちょっとだけ、君のことを見守っている。
少しだけ大きくなった君とすれ違う朝、秋風が心地よく吹いた気がした…
♪My Favorite song
さよなら夏の日 山下達郎