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カテゴリー:特設コーナー
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眼鏡越しの風景EP49-空蝉-
夕暮れ時、ひとりぼんやり公園のベンチに座っていると、どこからともなく「ヨイショ、ヨイショ」と小さな声が聞こえてきたような気がした。足元に目をやると、土の上を不器用にゆっくり歩く謎の生物を見つけた。 「足の付いた茶色の芋… -
眼鏡越しの風景EP48-宿借-
近頃は遅め出勤となり、それまで出会うことのなかった、始業ギリギリ通学の子供たちと一緒になることが増えた。時々、見かける彼女は小学3年生くらいの女の子。 ピンクのランドセルに、バレエチュチュのようなふんわりチュールを重ねた… -
眼鏡越しの風景EP47-魔法-
母から読み聞かせてもらった絵本に「あなたの願いをひとつだけ叶えましょう」という物語があった。シンデレラは魔法の力で素敵な王子様に出逢い、アラジンのランプの魔人ジーニーは、ランプをひと擦りすれば、贅沢に3つも願いを叶えてく… -
眼鏡越しの風景EP46-遠投-
人参、ピーマン、ほうれん草。 小さい頃は好き嫌いが激しくずいぶん食の細い子供で、周りの子供たちに比べて食べるのも遅く、家でも保育園でもとにかく食事の時間は毎日苦痛だった。大人になってから、料理をしたり、美味しいものを探求… -
Mop22:純度
真っ直ぐに生きていたいと思います。 そのために、真っ直ぐの本質を探っていきたいとも思う。 時には、「当たり前」を疑うことも必要で、 残念なことに、世の中の決まり事の中には、本質を無視していることも多々あるから。 … -
眼鏡越しの風景EP45-緑風-
夏の訪れにはまだ少し早い、梅雨の晴れ間。 毎朝通る道沿いの浅いモルタル側溝に1年ぶりの懐かしい光景があった。今年も彼らはこの側溝地獄に迷い込み、裏返ったまま足をバタバタ、また起き上がれずにいた。 君の名は…カナブンの「奏… -
眼鏡越しの風景EP44-十年-
「おはようございます!」 日に焼けた顔をニコニコさせながら、毎朝道に立っているおじさんの正体は、とある企業の管理人さん。 毎朝、自転車で通る道、遠くからでもすぐにわかるおじさんの笑顔と、「おはよう!」の声が今日も晴天の空… -
眼鏡越しの風景EP43-無口-
今年は早くから暖かくなったせいか、目や顔の周りがやけに痒い。数年ぶりに花粉症を再発させてしまったようで、ついに我が家にも空気清浄機を迎えることとなった。 以前、エッセイに登場してくれた家電好きな後輩くんから指南を受け、… -
Mop21:過去の上に
こんにちは。改めまして、ピアノ弾きのミサトです。 最近は、文章を書くことが増えてきました。 一つ一つ、大事に、離してあげたいです。 ゴールデンウィーク、いかがお過ごしでしょうか? 息子と私。 ふたりの空間には、これま… -
眼鏡越しの風景EP42-即席-
インスタントラーメンを絶妙な加減で作るセンスというのは、ある種の才能だ。 子どもの頃、祖母の家に預けられた私のお昼のリクエストはいつも「インスタントラーメン!」だった。 私にとって“おばあちゃん”という響きは何でもでき…