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カテゴリー:yukkoのお眼鏡
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眼鏡越しの風景EP55-小粋-
母の影響なのか.子供の頃から洋服好きで、毎シーズンごとに少しずつ洋服を買い足しているが、近頃はお出かけの機会もめっきり減ってしまい、ここ2年は手持ちの洋服を着回し、去年は人生で初めて洋服を一着も購入しなかった。 今年も… -
眼鏡越しの風景EP54-怪盗-
そろそろ日も短くなった秋の夕暮れ。とあるマンション1階にあるギャラリーショップの薄暗い店内を上下左右に忙しなく動く白い光。ショーウィンドウの前には胸ポケットから素早く抜き取ったペンライトで、狙ったお宝を照らし出す人影。更… -
眼鏡越しの風景EP53-蘇生-
朝は、ほんの少しの違和感だった。 午後からの作業で数回屈んだあと歩き出すと、右鼠径部から前太ももにかけて歩くたびに痛みが走った。どうも屈んだ時に、朝のほんの少しの違和感を激痛へ、自分でトドメをさしてしまったようだ。 帰… -
眼鏡越しの風景EP52-三人-
「女性が三人寄ると姦しい(かしましい)」 とはよく言ったもので、書いて字のごとく三人集まるとわちゃわちゃ楽しい。 学生の頃、私は休み時間に示し合わせ、連れ立ってトイレに行くタイプではなかった。それでも、奇数構成の女子グ… -
眼鏡越しの風景EP51-眼鏡-
小学生の頃.眼鏡っ子の友の後ろで視力検査を待つ間、 「下?うーんっ.わかりません」 と、モゴモゴしてるのを見ると、後ろから 「みぎ!右だよ!」 「うっうえ!上、上っ」 と、クイズでなく検査にも関わらずコソコソ答えを教え、… -
眼鏡越しの風景EP50-解夏-
小学1年生の夏休み、母は私に1人で電車に乗る練習をさせた。その練習はなぜか夕方から始まり、母の仕事終わり、仕事先の最寄り駅で待ち合わせをしようというものだった。日中、祖父母の家に預けられていた私を、祖母がスタート地点の駅… -
眼鏡越しの風景EP49-空蝉-
夕暮れ時、ひとりぼんやり公園のベンチに座っていると、どこからともなく「ヨイショ、ヨイショ」と小さな声が聞こえてきたような気がした。足元に目をやると、土の上を不器用にゆっくり歩く謎の生物を見つけた。 「足の付いた茶色の芋… -
眼鏡越しの風景EP48-宿借-
近頃は遅め出勤となり、それまで出会うことのなかった、始業ギリギリ通学の子供たちと一緒になることが増えた。時々、見かける彼女は小学3年生くらいの女の子。 ピンクのランドセルに、バレエチュチュのようなふんわりチュールを重ねた… -
眼鏡越しの風景EP47-魔法-
母から読み聞かせてもらった絵本に「あなたの願いをひとつだけ叶えましょう」という物語があった。シンデレラは魔法の力で素敵な王子様に出逢い、アラジンのランプの魔人ジーニーは、ランプをひと擦りすれば、贅沢に3つも願いを叶えてく… -
眼鏡越しの風景EP46-遠投-
人参、ピーマン、ほうれん草。 小さい頃は好き嫌いが激しくずいぶん食の細い子供で、周りの子供たちに比べて食べるのも遅く、家でも保育園でもとにかく食事の時間は毎日苦痛だった。大人になってから、料理をしたり、美味しいものを探求…